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働かなくても生きていける世界。
もしそんな理想郷があったとしたら、そこはどんな世界になるのでしょうか?
今回は『理想的な社会とは何だろう?』と考えさせられる”ユニバース25”という実験が興味深い話だったのでまとめておきます。暇な時間におひとつどうぞ。
※個人な解釈や表現も混じってるのであしからず!
ユニバース25とは
ユニバース25は動物行動学者のカルフーンが1968から約5年の期間でおこなったネズミを使った観察実験です。人口の密度が社会に与える影響をシミュレーションした内容となっています。
またこの実験はネズミに以下のような整備された環境を用意したところも面白いポイントとして知られています。
- 食料、水は無限にある
- 室温、衛生面は適切に管理されている
- 害獣や病気などの外的な危険がない
- 居住スペースは約12~15匹が生活できるゲージを上下左右に配置してあり、パイプで移動できるマンションのような構造で理論上は約3840匹が生活できる設計
空間としての限界はありますが、働かなくても生活できる安心・安全・超快適な、まさに理想郷な施設です!
なのですが、この実験の興味深いところはこれだけ整えられた環境でも高密度によるストレスで社会崩壊が起こり、最終的には絶滅するというインパクトの強い終わりを迎えたところにあります。
ユニバース25はこの結果から人間社会の一つの可能性として、未来を考えるテーマでは引用されることが多い実験となりました。
概要はこれくらいに、本筋とは関係ないところでちょっとだけ余談。
”25”は実験の通し番号
ユニバース25の数字部分は実験の回数を示す通し番号になっています。
この観察実験はバージョンアップを行いながら複数回行われていて、過去にはユニバース24や23に相当する実験も行われていました。ただし”ユニバース”がつくのは25回目の実験だけです。
”24”以前の実験は情報が少ない
ユニバース25は社会崩壊を起こした後の絶滅まで観察したことで広く知られる実験となりましたが、それ以前の実験ではどんな結末だったのか疑問に思ったので調べました。
どうやら”24”以前は社会崩壊を起こすまでの観察だったらしく、その後については観察対象外として情報がほとんどないようです。”25”だけが観察範囲を広げたものらしい。
ただ嘘か本当か分かりませんが、カルフーンは全ての実験でネズミは絶滅したと言っていたのだとか。
4つのフェーズ
ユニバース25では観察結果を4つのフェーズに分けて報告しています。
フェーズA:適応期
実験はオス、メス各4匹ずつの計8匹からスタートして、最初の出産が確認される104日目までがフェーズAになります。
実験は生後60日ほどで繁殖可能になるハツカネズミで行っています。なので最初の出産が104日目というのは数字的に少し時間がかかったような印象です。さぞ緊張していたのでしょう。愛らしいですね。
フェーズB:繁殖期
最初の出産以降、55日ごとに個体数が倍々以上のスピードで増えていき、フェーズBの約200日の間で約600匹ほどに達しました。
そして、この頃から強いオスネズミの縄張り争いやメスネズミと優先的に交尾できる環境作りなど、ネズミ社会の階層化が見られるようになりました。
いわゆるヒエラルキーってやつです。
フェーズC:停滞/崩壊期
繁殖スピードは低下しながらも徐々に個体数は増えつづけ、フェーズCの終了時には約2200匹に達します。しかしスペース的な余裕は残しつつここで個体数の増加は頭打ちとなりました。
また緩やかな増加の一方で過密化が進み、そのストレスから異常な行動をするネズミが増え始めます。
攻撃性を増したオスネズミが現れ、縄張り侵略などの喧嘩が横行するようになります。そしてそのストレスはメスネズミに向けられたりして、群れ全体で強いストレスを抱えるようになりました。
その結果、こうした社会変化に適応できなかったオスネズミは群れから離脱し、離れた場所で毛繕いや食事など最低限の行動だけをする無気力な状態になり、メスネズミからもストレスから育児放棄や虐待行動を示すように個体が現れるようになりました。
こうしてフェーズBで見られた階層化社会が正常に機能しなくなり無秩序な社会になっていきます。フェーズCの終わりには出生率は激減し、出産しても成熟するまで生きられない世紀末のような状況となっていて、個体数の増加が停滞したのです。
フェーズD:絶滅期
秩序がなくなったユニバース25の世界では、争いのストレスで疲弊しきった状態の個体と、一線から離脱して最低限の活動だけしている綺麗な状態の個体(ビューティフル・ワンズ)の2種が多く見られるようになります。
フェーズDでは妊娠や成熟までの成長がかなり難しい状態になっていて、実験開始から920日目に最後の妊娠が確認されるものの出産には至らず、あとは現存するネズミの死亡を観察するだけの期間となっています。
そして実験開始から約5年、最後のネズミの死亡が確認され実験は終了となりました。
ネズミが絶滅した理由のまとめ
無限の食料や外敵もいない恵まれた環境に関わらずネズミはなぜ絶滅したのか、ポイントをまとめておきます。
過密のストレスを回避できなかった
コロニーでの食事は特定の場所に行かなければ餌が確保できない仕組みとなっていました。そのため餌場周辺にネズミが集まるようになり、過密化するエリアが生まれました。
自然に生きるネズミであれば状況にあわせて生活エリアを変えたりすることで過密を避けることができるのですが、コロニーの限られた空間ではそれができなかったのです。
その結果、過密のストレスから攻撃的なネズミや育児放棄をするネズミ、何もしない無気力なネズミなど異常行動を示す個体が増え、社会崩壊を起こしました。
繁殖行動の低下
ユニバース25では社会崩壊が進むのと並行して繁殖率が低下していきました。
その主な理由としては以下の通りで、純粋に繁殖行為の頻度が低下が原因です。
・無気力なネズミは交尾にも関心がなくなった
・攻撃的なネズミが増えたことで健全に交尾できる機会が減った
加えて出産しても育児放棄、虐待をするネズミもいたため、成熟するまで生きられる子ネズミの割合が極端に低下していたため、新しい世代が生まれない・育たない状況になっていて、現存するネズミだけの世界となってしまい絶滅に至りました。
人間社会の行く末?(そんなわけない)
ユニバース25は人間社会に置き換えやすい内容かつ情報が少ない実験なこともあって拡大解釈されがちな話となっています。
それもあってか絶滅という結果を素直に不安視する人も少なくないのだとか。ってことで注意の意も込めて書いておきます。
ユニバース25は過密が社会に及ぼす影響を観察するためのただの実験です。
なので当然、単純に自分たちの社会に置き換えられるものではありません。ここはしっかりと切り分けておきたいポイントです。
ネズミの恵まれた世界は繁殖しやすい環境として、拡張出来ない不都合な空間は過密を回避させない条件として意図的に作られたものです。
人間は田舎でも住めるようにインフラを整えて、横がダメなら上に家を伸ばして過密を避ける知恵や工夫を頑張れる生き物です。
生物的な違いも然り、生きてる環境が月とスッポンくらい違うことは十分に理解して「過密ってヤベーんだな」くらいに捉えておきましょうね!
まぁ過密と言うか回避不可能な過度のストレスは総じて全部危ないんでしょう。改めて再認識。
さいごに
ユニバース25の話とはかなりズレるんですが、もし働かなくても不自由なく快適に生活できる世界が実現したら、そこはどんな世界なんだろう?とか考えるとSFチックに妄想が膨らんで面白いですね!
「誰しもが平等で笑顔が絶えない幸せな世界」「全員が生きる目的を見出せず生きた屍になった世界」とか。
ついでにその構想が膨らみすぎて映画化しちゃったりしてね、しかもそれが大ヒットして億万長者になっちゃって、もう…これが順風満帆ってこと?!みたいなところまで妄想しちゃってね…明日も頑張ろう。
とりあえず私が最初にユニバース25を知った時の素直な感想は「へぇ〜そっすか」でした。


