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今回は「人は合理性だけで行動を決めているわけではない」と言うことを検証した実験、通牒ゲームと独裁者ゲームの紹介です。
この実験は意外性低めではあるものの、個人的に好きな実験なので暇な時間におひとつどうぞ。
あと、以前に合理性の難しさをテーマに囚人のジレンマという話を紹介したことがあるので、こちらも面白いのでよければどうぞ。
→ノラクラブログ – 簡単な話なのに難しい?合理的な選択の難しさを知る面白い話
通牒ゲーム
通牒ゲームは経済学の分野で「人の行動は合理性以外に何を重要視しているか」を調べるために行われた実験です。
実験の内容は以下の通り。
提案者は1000円を渡され、受取人との配分を提案します。
この提案は1000:0でも500:500でも自由に提案できます。
受取人は提案された配分を承諾・拒否することができます。
承諾の場合は、提案の分配で提案者・受取人のどちらもお金を受け取ることができます。
拒否の場合は、提案者・受取人のどちらもお金を受け取ることができません。
このルールの時、提案者はどういった提案をするのか色んな国や地域で実験が行われました。
合理的であれば極端な配分になるはず
当時の経済学には「人は合理性で意思決定している」という考えがありました。
なので本当に合理性だけで物事を判断するなら、この実験だと999円と1円と言った極端な提案になるはずでした。
ところがどっこい、その予想とは裏腹に地域ごとに偏りはあるものの約25~50%の配分が提案されると言う当初の予想を大きく覆す結果となったのです。
実験結果からは以下のような傾向が見られました。
- 先進国の大学生は40~50%を配分する提案が多かった
- ペルーなど自給自足が基本で生活圏での協力文化が少ない地域の配分は平均25%程度だった
- インドネシアなど大勢が協力してクジラを漁獲する文化のある地域では配分を60%近く渡す提案も見られた
生活文化の違いが配分に影響していたようです。
この合理性だけでは説明ができない配分結果から、人の行動は合理性だけでなく公平や平等を尊重した意思決定をしていると考えられるようになりました。
独裁者ゲーム
独裁者ゲームは「本当に公平・平等を尊重した意思決定をしているのか?」といった点の切り分けを目的として通牒ゲームから派生した実験です。
ルールは以下の通り。
提案者は1000円を渡され、受取人との配分を提案します。
この時の提案は1000:0でも500:500でも自由に提案できます。
受取人は通牒ゲームとは違い、提示された配分を拒否することができず、そのままの配分を受け取ります。
もはや受取人いらなくない?という一方的なルールで、まさに独裁といった内容です。
通牒ゲームには配分次第で提案を拒否られる可能性があったので、そこを考慮して配分を決めていたのでは?と言う疑問がありました。
もしそうれあれば、独裁者ゲームで当初考えられていた極端な提案ばかりになるはずだ、と考えたわけです。
受取人の配分が減った
独裁者ゲームの結果は地域ごとに違いはあるものの受取人の配分は平均して20~30%程度まで減少しています。
当然ながら1000:0の提案も増えています。
この結果は通牒ゲームの提案は拒否されるリスクを考慮したものだったことを証明するものでした。だよね〜って。
しかしながら、これだけ一方的なルールにしても一定の配分を提案する状況は変わらずで、やはり人は合理性だけで意思決定をしているわけではないと言う裏付けにもなっています。
ここまでの結果から、人は合理性のほかに数字に置き換えられないものを評価して意思決定をしている。と言う考えが学術的に広まりました。
他人からの評価を気にしていた
独裁者ゲームの結果から、人の意思決定には合理性以外の要素も影響していることが分かりました。
では一体なに考慮して意思決定しているのか?
そんな疑問を追求するべく、独裁者ゲームをちょいと見直した実験が行われました。
これまでの実験では基本的に提案者・受取人はお互いに誰かわからない匿名な状態で行なわれていましたが、実験者(実験を観察してる人)だけは誰がどんな配分を提案したかを知れる状態になっていました。
なので、この実験者すら誰がどんな配分を提案したか分からない完全に匿名な状態だったらどうなるのでしょうか?興味津々です。
その結果は、従来の独裁者ゲームからさらに配分が低下して平均10~20%程度になったそうです。うん、想像通りです。
やっぱりみんな見ず知らずの他人であってもケチくさいとか心が狭いとか思われたくないんでしょうね。
この結果は匿名性が高くなると利己的な考えになる傾向を示しています。
しかしそれと同時に、完全な匿名を作ったとしても極端な配分提案だらけにならなかった点は、やっぱり人は合理性だけで意思決定してるわけではないよね。という解釈をより強めるものにもなっています。
以上のこうした実験から、人は自分の利益を追求する合理性だけでなく、公平性や他人からの評価など様々な価値観や感情を総合して意思決定しているという考えに至るのでした。
人の意思決定は複雑、でも人間味があって好き
通牒ゲームや独裁者ゲームで分かったことは人は目に見える利益だけで行動しているわけではないってことです。
配分の理由はいろいろあるのだろうけど、
・少しでも善行をする自分でありたい
・自分だけが得をすることの後ろめたさ
みたいな他人を思いやる感情が少なからずあって分配したんじゃないかと思います。
もちろん損得だけの打算計算な提案もたくさんあるのだろうけど、こういった人間味を感じられる結果をなったこの実験は素直に素敵だなと感じるわけです。だから好きな実験なのです。
もし自分が提案者だったらどうするだろう?
多分、全部もらって友達にジュース奢るわ!



