例えばの話、お腹が痛いのをギリギリまで我慢して、いざトイレに行ったとします。
もしそんな状況でトイレに人が並んでいたらアナタはどうしますか?
そう、漏らします。
大人になってのお漏らしは恥ずかしいですからね、我慢も程々にしましょう。
っとそんな羞恥心の話がしたいのではなく、そんな状況になったら前の人にお願いをしてでも先にトイレを使わせてほしいとお願いするんじゃないかと思います。
そんなお願いをする時に少しでも可能性を上げたいと思うのは当たり前のことですが、あるんです、上げ方がね。
それはお願いをする時は何でもいいから理由を付けると言う事。
例えば「漏れそうなんで、先にトイレ使わしてください」とかね、正直者。
これはカチッサー効果と言う心理現象を、簡単なお願い事の成功率を上げる為に使用したものですが、この話で面白いのがお願いの難易度が低い場合は付け加える理由は重要ではないと言うです。
カチッサー効果とは
カチッサー効果は、ある働きかけによって、深く考える事無く行動を起こしてしまう心理現象の事です。
分かりやすい例えだと、人は理由を添えてお願いされると簡単なものなら無意識に承諾しやすいって事ですね。
カチッサー効果の由来は少し変わっていて、カセットテープの再生ボタンを押した時の「カチッ」と、砂嵐の様な音の「サー」を組み合わせたものが語源となっています。
時代を感じますね。
今なら無意識に商品なり動画を「ポチッ」て「ジー」っと眺めている様子からポチッジーとかになったのかもしれないと考えると高ぶりそうです。
コピー機の実験
心理学者のエレン・ランガー氏が行ったカチッサー効果の実証実験があります。
A:5枚なのですが、先にコピー機を使わせてくれませんか?
B:5枚なのですが、急いでいるのでコピー機を先に使わせてくれませんか?
C:5枚なのですが、コピーを取りたいので先にコピー機を使わせてくれませんか?
と言うもの。
それぞれAは理由を付けず、Bは理由を付けてのお願です。
しかし、Cは当たり前の事を言っているだけで、理由でもなく適当な事を言っています。
これらのお願いをしてみたところ、以下の様な割合でコピー機を先に使わせてくれたそうです。
A:60%
B:94%
C:93%
なんとBとCでほぼ変わらない結果になりました。
この結果から、人にお願いをする時は理由を添える事が大事であり、その理由は重要ではない事が証明されたのです。
「〇〇〇だから、△△△してほしい」のテンプレートを覚えておきましょう。
無理なお願いは禁物
カチッサー効果を利用したお願いの仕方は、あくまでも常識的な範囲でしか有効ではありません。
頼まれる側が『まぁいいか』と思えないお願いになると効果が極端に低くなります。
上に書いた実験では5枚のコピーを先にさせて欲しいと言うお願いでしたが、これを20枚にした実験もあります。
A:20枚なのですが、先にコピー機を使わせてくれませんか?
B:20枚なのですが、急いでいるのでコピー機を先に使わせてくれませんか?
C:20枚なのですが、コピーを取りたいので先にコピー機を使わせてくれませんか?
結果はそれぞれ以下の通り。
A:24%
B:42%
C:24%
この様に枚数が増えると成功率が大きく下がる結果となりました。
さらにCの適当な理由も効果が無くなり、理由を添えない場合と同様の結果となっています。
この結果は簡単なお願いであれば理由は重要ではないが、要求の難易度が上がると理由が重要になる事を示しています。
要求の難易度は要求される側の感覚によるので、具体的にカチッサー効果が有効だと言える明確な基準はありません。
お願いのテクニックにフットインザフェイスやフェイスインザドアなどもありますが、これらと違ってカチッサー効果を利用したお願いは手軽なお願いの成功率を上げるためのものと理解して使い所には注意してください。
ただの空気の読めない変な人になるかもしれませんからね。
さいごに
どんな状況であれ、人は複数人いる環境の中の一方的な状況を嫌うのかもしれません。
今回の話だと、お願い事も一方的なものではなく、理由を添える事で相手の歩み寄りや思いやりと言った気持ちを持ってもらい、気持ちが双方向になる状況を作る事が大事なのかもと勝手な想像をしちゃいました。
余談ですが、電車で通話をしてる人にイライラする理由の1つに会話の内容が一方しか聞けないからと言う話があります。
人は想像できる状況には警戒しませんが、理解できない状況に不安やストレスを感じるのだとか。
何となく記事を書きながらこの話を思い出しました。
直接的には今回の話とは関係ないかもしれませんが、どんな状況でも”向き合う”って大事な事ですよね。
知らんけど!